民事再生法

第七章 再生計画

第一節 再生計画の条項

(再生計画の条項)

第百五十四条再生計画においては、次に掲げる事項に関する条項を定めなければならない。

一 全部又は一部の再生債権者の権利の変更

二 共益債権及び一般優先債権の弁済

三 知れている開始後債権があるときは、その内容

債権者委員会が再生計画で定められた弁済期間内にその履行を確保するため監督その他の関与を行う場合において、再生債務者がその費用の全部又は一部を負担するときは、その負担に関する条項を定めなければならない。

第百六十六条第一項の規定による裁判所の許可があった場合には、再生計画の定めによる再生債務者の株式の取得に関する条項、株式の併合に関する条項、資本金の額の減少に関する条項又は再生債務者が発行することができる株式の総数についての定款の変更に関する条項を定めることができる。

第百六十六条の二第二項の規定による裁判所の許可があった場合には、再生計画において、募集株式(会社法第百九十九条第一項に規定する募集株式をいい、譲渡制限株式であるものに限る。以下この章において同じ。)を引き受ける者の募集(同法第二百二条第一項各号に掲げる事項を定めるものを除く。以下この章において同じ。)に関する条項を定めることができる。

(再生計画による権利の変更)

第百五十五条再生計画による権利の変更の内容は、再生債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権若しくは第八十四条第二項に掲げる請求権について別段の定めをし、その他これらの者の間に差を設けても衡平を害しない場合は、この限りでない。

前項の規定にかかわらず、約定劣後再生債権の届出がある場合における再生計画においては、再生債権(約定劣後再生債権を除く。)を有する者と約定劣後再生債権を有する者との間においては、第三十五条第四項に規定する配当の順位についての合意の内容を考慮して、再生計画の内容に公正かつ衡平な差を設けなければならない。

再生計画によって債務が負担され、又は債務の期限が猶予されるときは、特別の事情がある場合を除き、再生計画認可の決定の確定から十年を超えない範囲で、その債務の期限を定めるものとする。

再生手続開始前の罰金等については、再生計画において減免その他権利に影響を及ぼす定めをすることができない。

(権利の変更の一般的基準)

第百五十六条再生債権者の権利を変更する条項においては、債務の減免、期限の猶予その他の権利の変更の一般的基準(約定劣後再生債権の届出があるときは、約定劣後再生債権についての一般的基準を含む。)を定めなければならない。

(届出再生債権者等の権利に関する定め)

第百五十七条再生債権者の権利を変更する条項においては、届出再生債権者及び第百一条第三項の規定により認否書に記載された再生債権者の権利のうち変更されるべき権利を明示し、かつ、前条の一般的基準に従って変更した後の権利の内容を定めなければならない。ただし、第百五十九条及び第百六十条第一項に規定する再生債権については、この限りでない。

前項に規定する再生債権者の権利で、再生計画によってその権利に影響を受けないものがあるときは、その権利を明示しなければならない。

(債務の負担及び担保の提供に関する定め)

第百五十八条再生債務者以外の者が債務を引き受け、又は保証人となる等再生のために債務を負担するときは、再生計画において、その者を明示し、かつ、その債務の内容を定めなければならない。

再生債務者又は再生債務者以外の者が、再生のために担保を提供するときは、再生計画において、担保を提供する者を明示し、かつ、担保権の内容を定めなければならない。

(未確定の再生債権に関する定め)

第百五十九条異議等のある再生債権で、その確定手続が終了していないものがあるときは、再生計画において、その権利確定の可能性を考慮し、これに対する適確な措置を定めなければならない。

(別除権者の権利に関する定め)

第百六十条別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分が確定していない再生債権を有する者があるときは、再生計画において、その債権の部分が確定した場合における再生債権者としての権利の行使に関する適確な措置を定めなければならない。

前項に規定する再生債権を担保する根抵当権の元本が確定している場合には、その根抵当権の被担保債権のうち極度額を超える部分について、第百五十六条の一般的基準に従い、仮払に関する定めをすることができる。この場合においては、当該根抵当権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分が確定した場合における精算に関する措置をも定めなければならない。

(再生債務者の株式の取得等に関する定め)

第百六十一条再生計画によって株式会社である再生債務者が当該再生債務者の株式の取得をするときは、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 再生債務者が取得する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)

二 再生債務者が前号の株式を取得する日

再生計画によって株式会社である再生債務者の株式の併合をするときは、会社法第百八十条第二項各号に掲げる事項を定めなければならない。

再生計画によって株式会社である再生債務者の資本金の額の減少をするときは、会社法第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めなければならない。

再生計画によって株式会社である再生債務者が発行することができる株式の総数についての定款の変更をするときは、その変更の内容を定めなければならない。

(募集株式を引き受ける者の募集に関する定め)

第百六十二条株式会社である再生債務者が、第百六十六条の二第二項の規定による裁判所の許可を得て、募集株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、再生計画において、会社法第百九十九条第一項各号に掲げる事項を定めなければならない。

第二節 再生計画案の提出

(再生計画案の提出時期)

第百六十三条再生債務者等は、債権届出期間の満了後裁判所の定める期間内に、再生計画案を作成して裁判所に提出しなければならない。

再生債務者(管財人が選任されている場合に限る。)又は届出再生債権者は、裁判所の定める期間内に、再生計画案を作成して裁判所に提出することができる。

裁判所は、申立てにより又は職権で、前二項の規定により定めた期間を伸長することができる。

(再生計画案の事前提出)

第百六十四条再生債務者等は、前条第一項の規定にかかわらず、再生手続開始の申立て後債権届出期間の満了前に、再生計画案を提出することができる。

前項の場合には、第百五十七条及び第百五十九条に規定する事項を定めないで、再生計画案を提出することができる。この場合においては、債権届出期間の満了後裁判所の定める期間内に、これらの事項について、再生計画案の条項を補充しなければならない。

(債務を負担する者等の同意)

第百六十五条第百五十八条に規定する債務の負担又は担保の提供についての定めをした再生計画案を提出しようとする者は、あらかじめ、当該債務を負担し、又は当該担保を提供する者の同意を得なければならない。

第百六十条第二項の仮払に関する定めをした再生計画案を提出しようとする者は、あらかじめ、当該定めに係る根抵当権を有する者の同意を得なければならない。

(再生債務者の株式の取得等を定める条項に関する許可)

第百六十六条第百五十四条第三項に規定する条項を定めた再生計画案を提出しようとする者は、あらかじめ、裁判所の許可を得なければならない。

裁判所は、株式会社である再生債務者がその財産をもって債務を完済することができない場合に限り、前項の許可をすることができる。

第一項の許可の決定があった場合には、その裁判書を当該許可の申立てをした者に、その決定の要旨を記載した書面を株主に、それぞれ送達しなければならない。この場合における株主に対する送達については、第四十三条第四項及び第五項の規定を準用する。

第一項の規定による許可の決定に対しては、株主は、即時抗告をすることができる。

(募集株式を引き受ける者の募集を定める条項に関する許可)

第百六十六条の二 第百五十四条第四項に規定する条項を定めた再生計画案は、再生債務者のみが提出することができる。

再生債務者は、前項の再生計画案を提出しようとするときは、あらかじめ、裁判所の許可を得なければならない。

裁判所は、株式会社である再生債務者がその財産をもって債務を完済することができない状態にあり、かつ、当該募集株式を引き受ける者の募集が再生債務者の事業の継続に欠くことのできないものであると認める場合に限り、前項の許可をすることができる。

前条第三項及び第四項の規定は、第二項の許可の決定があった場合について準用する。

(再生計画案の修正)

第百六十七条再生計画案の提出者は、裁判所の許可を得て、再生計画案を修正することができる。ただし、再生計画案について決議をするための債権者集会を招集する旨の決定又は再生計画案を書面による決議に付する旨の決定がされた後は、この限りでない。ただし、再生計画案を決議に付する旨の決定がされた後は、この限りでない。

(再生債務者の労働組合等の意見)

第百六十八条裁判所は、再生計画案について、労働組合等の意見を聴かなければならない。前条の規定による修正があった場合における修正後の再生計画案についても、同様とする。

第三節 再生計画案の決議

(決議に付する旨の決定)

第百六十九条再生計画案の提出があったときは、裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、当該再生計画案を決議に付する旨の決定をする。

一 一般調査期間が終了していないとき。

二 財産状況報告集会における再生債務者等による報告又は第百二十五条第一項の報告書の提出がないとき。

三 裁判所が再生計画案について第百七十四条第二項各号(第三号を除く。)に掲げる要件のいずれかに該当するものと認めるとき。

四 第百九十一条第二号の規定により再生手続を廃止するとき。

裁判所は、前項の決議に付する旨の決定において、議決権を行使することができる再生債権者(以下「議決権者」という。)の議決権行使の方法及び第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により議決権の不統一行使をする場合における裁判所に対する通知の期限を定めなければならない。この場合においては、議決権行使の方法として、次に掲げる方法のいずれかを定めなければならない。

一 債権者集会の期日において議決権を行使する方法

二 書面等投票(書面その他の最高裁判所規則で定める方法のうち裁判所の定めるものによる投票をいう。)により裁判所の定める期間内に議決権を行使する方法

三 前二号に掲げる方法のうち議決権者が選択するものにより議決権を行使する方法。この場合において、前号の期間の末日は、第一号の債権者集会の期日より前の日でなければならない。

裁判所は、第一項の決議に付する旨の決定をした場合には、前項前段に規定する期限を公告し、かつ、当該期限及び再生計画案の内容又はその要旨を第百十五条第一項本文に規定する者(同条第二項に規定する者を除く。)に通知しなければならない。

裁判所は、議決権行使の方法として第二項第二号又は第三号に掲げる方法を定めたときは、その旨を公告し、かつ、議決権者に対して、同項第二号に規定する書面等投票は裁判所の定める期間内に限りすることができる旨を通知しなければならない。

裁判所は、議決権行使の方法として第二項第二号に掲げる方法を定めた場合において、第百十四条前段の申立てをすることができる者が前項の期間内に再生計画案の決議をするための債権者集会の招集の申立てをしたときは、議決権行使の方法につき、当該定めを取り消して、第二項第一号又は第三号に掲げる方法を定めなければならない。

(社債権者等の議決権の行使に関する制限)

第百六十九条の二 再生債権である社債又は第百二十条の二第六項各号に定める債権(以下この条において「社債等」という。)を有する者は、当該社債等について社債管理者又は同項各号に掲げる者(以下この条において社債管理者等」という。)がある場合には、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、当該社債等について議決権を行使することができる。

一 当該社債等について再生債権の届出をしたとき、又は届出名義の変更を受けたとき。

二 当該社債管理会社等が当該社債等について再生債権の届出をした場合において、再生計画案を決議に付する旨の決定があるまでに、裁判所に対し、当該社債等について議決権を行使する意思がある旨の申出をしたとき(当該申出のあった再生債権である社債等について次項の規定による申出名義の変更を受けた場合を含む。)。

前項第二号に規定する申出のあった再生債権である社債等を取得した者は、申出名義の変更を受けることができる。

次に掲げる場合には、第一項の社債等を有する者(同項各号のいずれかに該当するものに限る。)は、同項の規定にかかわらず、当該再生計画案の決議において議決権の行使をすることができない。

一 再生債権である社債等につき、再生計画案の決議における議決権の行使についての会社法第七百六条第一項(医療法第五十四条の七において準用する場合を含む。)の社債権者集会の決議若しくは社会医療法人債権者集会の決議、投資信託及び投資法人に関する法律第百三十九条の九第四項の投資法人債権者集会の決議、保険業法第六十一条の七第四項の社債権者集会の決議又は資産の流動化に関する法律第百二十七条第四項の特定社債権者集会の決議が成立したとき。

二 会社法第七百六条第一項ただし書(医療法第五十四条の七において準用する場合を含む。)、投資信託及び投資法人に関する法律第百三十九条の九第四項ただし書若しくは保険業法第六十一条の七第四項ただし書の定めがあるとき、又は資産の流動化に関する法律第百二十七条第四項ただし書の通知がされたとき。

(債権者集会が開催される場合における議決権の額の定め方等)

第百七十条裁判所が議決権行使の方法として第百六十九条第二項第一号又は第三号に掲げる方法を定めた場合においては、再生債務者等又は届出再生債権者は、債権者集会の期日において、届出再生債権者の議決権につき異議を述べることができる。ただし、第百四条第一項の規定によりその額が確定した届出再生債権者の議決権については、この限りでない。

前項本文に規定する場合においては、議決権者は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額に応じて、議決権を行使することができる。

一 第百四条第一項の規定によりその額が確定した議決権を有する届出再生債権者 確定した額

二 前項本文の異議のない議決権を有する届出再生債権者 届出の額

三 前項本文の異議のある議決権を有する届出再生債権者 裁判所が定める額。ただし、裁判所が議決権を行使させない旨を定めたときは、議決権を行使することができない。

裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、いつでも前項第三号の規定による決定を変更することができる。

(債権者集会が開催されない場合における議決権の額の定め方等)

第百七十一条裁判所が議決権行使の方法として第百六十九条第二項第二号に掲げる方法を定めた場合においては、議決権者は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額に応じて、議決権を行使することができる。

一 第百四条第一項の規定によりその額が確定した議決権を有する届出再生債権者 確定した額

二 届出再生債権者(前号に掲げるものを除く。) 裁判所が定める額。ただし、裁判所が議決権を行使させない旨を定めたときは、議決権を行使することができない。

裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、いつでも前項第二号の規定による決定を変更することができる。

(議決権の行使の方法等)

第百七十二条議決権者は、代理人をもってその議決権を行使することができる。

議決権者は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。この場合においては、第百六十九条第二項前段に規定する期限までに、裁判所に対してその旨を書面で通知しなければならない。

前項の規定は、第一項に規定する代理人が委任を受けた議決権(自己の議決権を有するときは、当該議決権を含む。)を統一しないで行使する場合について準用する。

(基準日による議決権者の確定)

第百七十二条の二 裁判所は、相当と認めるときは、再生計画案を決議に付する旨の決定と同時に、一定の日(以下この条において「基準日」という。)を定めて、基準日における再生債権者表に記録されている再生債権者を議決権者と定めることができる。

裁判所は、基準日を公告しなければならない。この場合において、基準日は、当該公告の日から二週間を経過する日以後の日でなければならない。

(再生計画案の可決の要件)

第百七十二条の三 再生計画案を可決するには、次に掲げる同意のいずれもがなければならない。

一 議決権者(債権者集会に出席し、又は第百六十九条第二項第二号に規定する書面等投票をしたものに限る。)の過半数の同意

二 議決権者の議決権の総額の二分の一以上の議決権を有する者の同意

約定劣後再生債権の届出がある場合には、再生計画案の決議は、再生債権(約定劣後再生債権を除く。以下この条、第百七十二条の五第四項並びに第百七十四条の二第一項及び第二項において同じ。)を有する者と約定劣後再生債権を有する者とに分かれて行う。ただし、議決権を有する約定劣後再生債権を有する者がないときは、この限りでない。

裁判所は、前項本文に規定する場合であっても、相当と認めるときは、再生計画案の決議は再生債権を有する者と約定劣後再生債権を有する者とに分かれないで行うものとすることができる。

裁判所は、再生計画案を決議に付する旨の決定をするまでは、前項の決定を取り消すことができる。

前二項の規定による決定があった場合には、その裁判書を議決権者に送達しなければならない。ただし、債権者集会の期日において当該決定の言渡しがあったときは、この限りでない。

第一項の規定にかかわらず、第二項本文の規定により再生計画案の決議を再生債権を有する者と約定劣後再生債権を有する者とに分かれて行う場合において再生計画案を可決するには、再生債権を有する者と約定劣後再生債権を有する者の双方について第一項各号に掲げる同意のいずれもがなければならない。

第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定によりその有する議決権の一部のみを再生計画案に同意するものとして行使した議決権者(その余の議決権を行使しなかったものを除く。)があるときの第一項第一号又は前項の規定の適用については、当該議決権者一人につき、同号に規定する議決権者の数に一を、再生計画案に同意する旨の議決権の行使をした議決権者の数に二分の一を、それぞれ加算するものとする。

(再生計画案の変更)

第百七十二条の四 再生計画案の提出者は、議決権行使の方法として第百六十九条第二項第一号又は第三号に掲げる方法が定められた場合には、再生債権者に不利な影響を与えないときに限り、債権者集会において、裁判所の許可を得て、当該再生計画案を変更することができる。

(債権者集会の期日の続行)

第百七十二条の五 再生計画案についての議決権行使の方法として第百六十九条第二項第一号又は第三号に掲げる方法が定められ、かつ、当該再生計画案が可決されるに至らなかった場合において、次の各号のいずれかに掲げる同意があるときは、裁判所は、再生計画案の提出者の申立てにより又は職権で、続行期日を定めて言い渡さなければならない。ただし、続行期日において当該再生計画案が可決される見込みがないことが明らかである場合は、この限りでない。

一 第百七十二条の三第一項各号のいずれかに掲げる同意

二 債権者集会の期日における出席した議決権者の過半数であって出席した議決権者の議決権の総額の二分の一を超える議決権を有する者の期日の続行についての同意

前項本文の場合において、同項本文の再生計画案の可決は、当該再生計画案が決議に付された最初の債権者集会の期日から二月以内にされなければならない。

裁判所は、必要があると認めるときは、再生計画案の提出者の申立てにより又は職権で、前項の期間を伸長することができる。ただし、その期間は、一月を超えることができない。

前三項の規定は、第百七十二条の三第二項本文の規定により再生計画案の決議を再生債権を有する者と約定劣後再生債権を有する者とに分かれて行う場合には、再生債権を有する者と約定劣後再生債権を有する者の双方について第一項各号のいずれかに掲げる同意があるときに限り、適用する。

(再生計画案が可決された場合の法人の継続)

第百七十三条清算中若しくは特別清算中の法人又は破産手続開始後の法人である再生債務者について再生手続が開始された場合において、再生計画案が可決されたときは、社団法人にあっては定款の変更に関する規定に従い、財団法人にあっては主務官庁の認可を得て、法人を継続することができる。

前項に規定する主務官庁の権限は、政令の定めるところにより、その全部又は一部を国に所属する行政庁に委任することができる。

第一項に規定する主務官庁の権限に属する事務は、政令の定めるところにより、都道府県の知事その他の執行機関において、その全部又は一部を処理することとすることができる。

第四節 再生計画の認可等

(再生計画の認可又は不認可の決定)

第百七十四条再生計画案が可決された場合には、裁判所は、次項の場合を除き、再生計画認可の決定をする。

裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、再生計画不認可の決定をする。

一 再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき。ただし、再生手続が法律の規定に違反する場合において、当該違反の程度が軽微であるときは、この限りでない。

二 再生計画が遂行される見込みがないとき。

三 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき。

四 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。

第百十五条第一項本文に規定する者及び労働組合等は、再生計画案を認可すべきかどうかについて、意見を述べることができる。

再生計画の認可又は不認可の決定があった場合には、第百十五条第一項本文に規定する者に対して、その主文及び理由の要旨を記載した書面を送達しなければならない。

前項に規定する場合には、同項の決定があった旨を労働組合等に通知しなければならない。

(約定劣後再生債権の届出がある場合における認可等の特則)

第百七十四条の二 第百七十二条の三第二項本文の規定により再生計画案の決議を再生債権を有する者と約定劣後再生債権を有する者とに分かれて行う場合において、再生債権を有する者又は約定劣後再生債権を有する者のいずれかについて同条第一項各号のいずれかに掲げる同意を得られなかったため再生計画案が可決されなかったときにおいても、裁判所は、再生計画案を変更し、その同意が得られなかった種類の債権を有する者のために、破産手続が開始された場合に配当を受けることが見込まれる額を支払うことその他これに準じて公正かつ衡平に当該債権を有する者を保護する条項を定めて、再生計画認可の決定をすることができる。

第百七十二条の三第二項本文の規定により再生計画案の決議を再生債権を有する者と約定劣後再生債権を有する者とに分かれて行うべき場合において、再生計画案について、再生債権を有する者又は約定劣後再生債権を有する者のいずれかについて同条第一項各号のいずれかに掲げる同意を得られないことが明らかなものがあるときは、裁判所は、再生計画案の作成者の申立てにより、あらかじめ、その同意を得られないことが明らかな種類の債権を有する者のために前項に規定する条項を定めて、再生計画案を作成することを許可することができる。この場合において、その同意を得られないことが明らかな種類の債権を有する者は、当該再生計画案の決議において議決権を行使することができない。

前項の申立てがあったときは、裁判所は、申立人及び同意を得られないことが明らかな種類の債権を有する者のうち一人以上の意見を聴かなければならない。

(再生計画認可の決定等に対する即時抗告)

第百七十五条再生計画の認可又は不認可の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

前項の規定にかかわらず、再生債務者が再生手続開始の時においてその財産をもって約定劣後再生債権に優先する債権に係る債務を完済することができない状態にある場合には、約定劣後再生債権を有する者は、再生計画の内容が約定劣後再生債権を有する者の間で第百五十五条第一項に違反することを理由とする場合を除き、即時抗告をすることができない。

議決権を有しなかった再生債権者が第一項の即時抗告をするには、再生債権者であることを疎明しなければならない。

前項の規定は、第一項の即時抗告についての裁判に対する第十八条において準用する民事訴訟法第三百三十六条の規定による抗告及び同法第三百三十七条の規定による抗告の許可の申立てについて準用する。

(再生計画の効力発生の時期)

第百七十六条再生計画は、認可の決定の確定により、効力を生ずる。

(再生計画の効力範囲)

第百七十七条再生計画は、再生債務者、すべての再生債権者及び再生のために債務を負担し、又は担保を提供する者のために、かつ、それらの者に対して効力を有する。

再生計画は、別除権者が有する第五十三条第一項に規定する担保権、再生債権者が再生債務者の保証人その他再生債務者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び再生債務者以外の者が再生債権者のために提供した担保に影響を及ぼさない。

(再生債権の免責)

第百七十八条再生計画認可の決定が確定したときは、再生計画の定め又はこの法律の規定によって認められた権利を除き、再生債務者は、すべての再生債権について、その責任を免れる。ただし、再生手続開始前の罰金等については、この限りでない。

(届出再生債権者等の権利の変更)

第百七十九条再生計画認可の決定が確定したときは、届出再生債権者及び第百一条第三項の規定により認否書に記載された再生債権を有する再生債権者の権利は、再生計画の定めに従い、変更される。

前項に規定する再生債権者は、その有する債権が確定している場合に限り、再生計画の定めによって認められた権利を行使することができる。

(再生計画の条項の再生債権者表への記載等)

第百八十条再生計画認可の決定が確定したときは、裁判所書記官は、再生計画の条項を再生債権者表に記載しなければならない。

前項の場合には、再生債権に基づき再生計画の定めによって認められた権利については、その再生債権者表の記載は、再生債務者、再生債権者及び再生のために債務を負担し、又は担保を提供する者に対して、確定判決と同一の効力を有する。

第一項の場合には、前項の権利で金銭の支払その他の給付の請求を内容とするものを有する者は、再生債務者及び再生のために債務を負担した者に対して、その再生債権者表の記載により強制執行をすることができる。ただし、民法第四百五十二条及び第四百五十三条の規定の適用を妨げない。

(届出のない再生債権等の取扱い)

第百八十一条再生計画認可の決定が確定したときは、次に掲げる再生債権(約定劣後再生債権の届出がない場合における約定劣後再生債権を除く。)は、第百五十六条の一般的基準に従い、変更される。

一 再生債権者がその責めに帰することができない事由により債権届出期間内に届出をすることができなかった再生債権で、その事由が第九十五条第四項に規定する決定前に消滅しなかったもの

二 前号の決定後に生じた再生債権

三 第百一条第三項に規定する場合において、再生債務者が同項の規定による記載をしなかった再生債権

前項第三号の規定により変更された後の権利については、再生計画で定められた弁済期間が満了する時(その期間の満了前に、再生計画に基づく弁済が完了した場合又は再生計画が取り消された場合にあっては弁済が完了した時又は再生計画が取り消された時)までの間は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。

再生計画認可の決定が確定した場合には、再生手続開始前の罰金等についても、前項と同様とする。

(別除権者の再生計画による権利の行使)

第百八十二条再生債権者が第五十三条第一項に規定する担保権を有する場合には、その行使によって弁済を受けることができない債権の部分が確定した場合に限り、その債権の部分について、認可された再生計画の定めによって認められた権利又は前条第一項の規定により変更された後の権利を行使することができる。ただし、その担保権が根抵当権である場合において、再生計画に第百六十条第二項の規定による仮払に関する定め及び精算に関する措置の定めがあるときは、その定めるところによる。

(再生計画により再生債務者の株式の取得等がされた場合の取扱い)

第百八十三条第百五十四条第三項の規定により再生計画において再生債務者の株式の取得に関する条項を定めたときは、再生債務者は、第百六十一条第一項第二号の日に、認可された再生計画の定めによって、同項第一号の株式を取得する。

第百五十四条第三項の規定により再生計画において株式の併合に関する条項を定めたときは、認可された再生計画の定めによって、株式の併合をすることができる。この場合においては、会社法第百十六条及び第百十七条の規定は、適用しない。

前項の場合には、会社法第二百三十五条第二項において準用する同法第二百三十四条第二項の許可の申立てに係る事件は、再生裁判所が管轄する。

第百五十四条第三項の規定により再生計画において資本金の額の減少に関する条項を定めたときは、認可された再生計画の定めによって、資本金の額の減少をすることができる。この場合においては、会社法第四百四十九条及び第七百四十条の規定は、適用しない。

前項の場合には、会社法第八百二十八条第一項第五号及び第二項第五号の規定にかかわらず、資本金の額の減少について、その無効の訴えを提起することができない。

第百五十四条第三項の規定により再生計画において再生債務者が発行することができる株式の総数についての定款の変更に関する条項を定めたときは、定款は、再生計画認可の決定が確定した時に再生計画の定めによって変更される。

第二項、第四項又は前項の規定により、認可された再生計画の定めによる株式の併合、資本金の額の減少又は定款の変更があった場合には、当該事項に係る登記の申請書には、再生計画認可の裁判書の謄本又は抄本を添付しなければならない。

(再生計画に募集株式を引き受ける者の募集に関する条項を定めた場合の取扱い)

第百八十三条の二 第百五十四条第四項の規定により再生計画において募集株式を引き受ける者の募集に関する条項を定めたときは、会社法第百九十九条第二項の規定にかかわらず、取締役の決定(再生債務者が取締役会設置会社である場合にあっては、取締役会の決議)によって、同項に規定する募集事項を定めることができる。この場合においては、同条第四項及び同法第二百四条第二項の規定は、適用しない。

会社法第二百一条第三項から第五項までの規定は、前項の場合について準用する。

「第一項の募集株式を引き受ける者の募集による変更の登記の申請書には、再生計画認可の裁判書の謄本又は抄本を添付しなければならない。

(中止した手続の失効)

第百八十四条再生計画認可の決定が確定したときは、第三十九条第一項の規定により中止した手続は、その効力を失う。ただし、同条第二項の規定により続行された手続については、この限りでない。

(不認可の決定が確定した場合の再生債権者表の記載の効力)

第百八十五条再生計画不認可の決定が確定したときは、確定した再生債権については、再生債権者表の記載は、再生債務者に対し、確定判決と同一の効力を有する。ただし、再生債務者が第百二条第二項又は第百三条第四項の規定による異議を述べたときは、この限りでない。

前項の場合には、再生債権者は、再生債務者に対し、再生債権者表の記載により強制執行をすることができる。

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