民事再生法

第四章 再生債権

第一節 再生債権者の権利

(再生債権となる請求権)

第八十四条再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権又は一般優先債権であるものを除く。次項において同じ。)は、再生債権とする。

次に掲げる請求権も、再生債権とする。

一 再生手続開始後の利息の請求権

二 再生手続開始後の不履行による損害賠償及び違約金の請求権

三 再生手続参加の費用の請求権

(再生債権の弁済の禁止)

第八十五条再生債権については、再生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。

再生債務者を主要な取引先とする中小企業者が、その有する再生債権の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。

裁判所は、前項の規定による許可をする場合には、再生債務者と同項の中小企業者との取引の状況、再生債務者の資産状態、利害関係人の利害その他一切の事情を考慮しなければならない。

再生債務者等は、再生債権者から第二項の申立てをすべきことを求められたときは、直ちにその旨を裁判所に報告しなければならない。この場合において、その申立てをしないこととしたときは、遅滞なく、その事情を裁判所に報告しなければならない。

少額の再生債権を早期に弁済することにより再生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の再生債権を早期に弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。

第二項から前項までの規定は、約定劣後再生債権である再生債権については、適用しない。

(再生債務者等による相殺)

第八十五条の二 再生債務者等は、再生債務者財産に属する債権をもって再生債権と相殺することが再生債権者の一般の利益に適合するときは、裁判所の許可を得て、その相殺をすることができる。

(再生債権者の手続参加)

第八十六条再生債権者は、その有する再生債権をもって再生手続に参加することができる。

破産法第百四条から第百七条までの規定は、再生手続が開始された場合における再生債権者の権利の行使について準用する。この場合において、同法第百四条から第百七条までの規定中「破産手続開始」とあるのは「再生手続開始」と、同法第百四条第一項、第三項及び第四項、第百五条、第百六条並びに第百七条第一項中「破産手続に」とあるのは「再生手続に」と、同法第百四条第三項から第五項までの規定中「破産者」とあるのは「再生債務者」と、同条第四項中「破産債権者」とあるのは「再生債権者」と読み替えるものとする。

(再生債権者の議決権)

第八十七条再生債権者は、次に掲げる債権の区分に従い、それぞれ当該各号に定める金額に応じて、議決権を有する。

一 再生手続開始後に期限が到来すべき確定期限付債権で無利息のもの 再生手続開始の時から期限に至るまでの期間の年数(その期間に一年に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)に応じた債権に対する法定利息を債権額から控除した額

二 金額及び存続期間が確定している定期金債権 各定期金につき前号の規定に準じて算定される額の合計額(その額が法定利率によりその定期金に相当する利息を生ずべき元本額を超えるときは、その元本額)

三 次に掲げる債権 再生手続開始の時における評価額

イ 再生手続開始後に期限が到来すべき不確定期限付債権で無利息のもの

ロ 金額又は存続期間が不確定である定期金債権

ハ 金銭の支払を目的としない債権

ニ 金銭債権で、その額が不確定であるもの又はその額を外国の通貨をもって定めたもの

ホ 条件付債権

ヘ 再生債務者に対して行うことがある将来の請求権

四 前三号に掲げる債権以外の債権 債権額

前項の規定にかかわらず、再生債権者は、第八十四条第二項に掲げる請求権及び第九十七条に規定する再生手続開始前の罰金等については、議決権を有しない。

第一項の規定にかかわらず、再生債務者が再生手続開始の時においてその財産をもって約定劣後再生債権に優先する債権に係る債務を完済することができない状態にあるときは、当該約定劣後再生債権を有する者は、議決権を有しない。

(別除権者の手続参加)

第八十八条別除権者は、当該別除権に係る第五十三条第一項に規定する担保権によって担保される債権については、その別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分についてのみ、再生債権者として、その権利を行うことができる。ただし、当該担保権によって担保される債権の全部又は一部が再生手続開始後に担保されないこととなった場合には、その債権の当該全部又は一部について、再生債権者として、その権利を行うことを妨げない。

(再生債権者が外国で受けた弁済)

第八十九条再生債権者は、再生手続開始の決定があった後に、再生債務者の財産で外国にあるものに対して権利を行使したことにより、再生債権について弁済を受けた場合であっても、その弁済を受ける前の債権の全部をもって再生手続に参加することができる。

前項の再生債権者は、他の再生債権者(同項の再生債権者が約定劣後再生債権を有する者である場合にあっては、他の約定劣後再生債権を有する者)が自己の受けた弁済と同一の割合の弁済を受けるまでは、再生手続により、弁済を受けることができない。

第一項の再生債権者は、外国において弁済を受けた債権の部分については、議決権を行使することができない。

(代理委員)

第九十条再生債権者は、裁判所の許可を得て、共同して又は各別に、一人又は数人の代理委員を選任することができる。

裁判所は、再生手続の円滑な進行を図るために必要があると認めるときは、再生債権者に対し、相当の期間を定めて、代理委員の選任を勧告することができる。

代理委員は、これを選任した再生債権者のために、再生手続に属する一切の行為をすることができる。

代理委員が数人あるときは、共同してその権限を行使する。ただし、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。

裁判所は、代理委員の権限の行使が著しく不公正であると認めるときは、第一項の許可の決定又は次条第一項の選任の決定を取り消すことができる。

再生債権者は、いつでも、その選任した代理委員を解任することができる。

(裁判所による代理委員の選任)

第九十条の二 裁判所は、共同の利益を有する再生債権者が著しく多数である場合において、これらの者のうちに前条第二項の規定による勧告を受けたにもかかわらず同項の期間内に代理委員を選任しない者があり、かつ、代理委員の選任がなければ再生手続の進行に支障があると認めるときは、その者のために、相当と認める者を代理委員に選任することができる。

前項の規定により代理委員を選任するには、当該代理委員の同意を得なければならない。

第一項の規定により代理委員が選任された場合には、当該代理委員は、本人(その者のために同項の規定により代理委員が選任された者をいう。第六項において同じ。)が前条第一項の規定により選任したものとみなす。

第一項の規定により選任された代理委員は、正当な理由があるときは、裁判所の許可を得て辞任することができる。

第一項の規定により選任された代理委員は、再生債務者財産から、次に掲げるものの支払を受けることができる。

一 前条第三項に規定する行為をするために必要な費用について、その前払又は支出額の償還

二 裁判所が相当と認める額の報酬

第一項の規定により代理委員が選任された場合における当該代理委員と本人との間の関係については、民法第六百四十四条から第六百四十七条まで及び第六百五十四条の規定を準用する。

(報償金等)

第九十一条裁判所は、再生債権者若しくは代理委員又はこれらの者の代理人が再生債務者の再生に貢献したと認められるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、再生債務者等が、再生債務者財産から、これらの者に対し、その事務処理に要した費用を償還し、又は報償金を支払うことを許可することができる。

前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

(相殺権)

第九十二条再生債権者が再生手続開始当時再生債務者に対して債務を負担する場合において、債権及び債務の双方が第九十四条第一項に規定する債権届出期間の満了前に相殺に適するようになったときは、再生債権者は、当該債権届出期間内に限り、再生計画の定めるところによらないで、相殺をすることができる。債務が期限付であるときも、同様とする。

再生債権者が再生手続開始当時再生債務者に対して負担する債務が賃料債務である場合には、再生債権者は、再生手続開始後にその弁済期が到来すべき賃料債務(前項の債権届出期間の満了後にその弁済期が到来すべきものを含む。次項において同じ。)については、再生手続開始の時における賃料の六月分に相当する額を限度として、前項の債権届出期間内に限り、再生計画の定めるところによらないで、相殺をすることができる。

前項に規定する場合において、再生債権者が、再生手続開始後にその弁済期が到来すべき賃料債務について、再生手続開始後その弁済期に弁済をしたときは、再生債権者が有する敷金の返還請求権は、再生手続開始の時における賃料の六月分に相当する額(同項の規定により相殺をする場合には、相殺により免れる賃料債務の額を控除した額)の範囲内におけるその弁済額を限度として、共益債権とする。

前二項の規定は、地代又は小作料の支払を目的とする債務について準用する。

(相殺の禁止)

第九十三条再生債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。

一 再生手続開始後に再生債務者に対して債務を負担したとき。

二 支払不能(再生債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。以下同じ。)になった後に契約によって負担する債務を専ら再生債権をもってする相殺に供する目的で再生債務者の財産の処分を内容とする契約を再生債務者との間で締結し、又は再生債務者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより再生債務者に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。

三 支払の停止があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。

四 再生手続開始、破産手続開始又は特別清算開始の申立て(以下この条及び次条において「再生手続開始の申立て等」という。)があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、再生手続開始の申立て等があったことを知っていたとき。

前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。

一 法定の原因

二 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは再生手続開始の申立て等があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因

三 再生手続開始の申立て等があった時より一年以上前に生じた原因

第九十三条の二 再生債務者に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。

一 再生手続開始後に他人の再生債権を取得したとき。

二 支払不能になった後に再生債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。

三 支払の停止があった後に再生債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。

四 再生手続開始の申立て等があった後に再生債権を取得した場合であって、その取得の当時、再生手続開始の申立て等があったことを知っていたとき。

前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する再生債権の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。

一 法定の原因

二 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは再生手続開始の申立て等があったことを再生債務者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因

三 再生手続開始の申立て等があった時より一年以上前に生じた原因

四 再生債務者に対して債務を負担する者と再生債務者との間の契約

第二節 再生債権の届出

(届出)

第九十四条再生手続に参加しようとする再生債権者は、第三十四条第一項の規定により定められた再生債権の届出をすべき期間(以下「債権届出期間」という。)内に、各債権について、その内容及び原因、約定劣後再生債権であるときはその旨、議決権の額その他最高裁判所規則で定める事項を裁判所に届け出なければならない。

別除権者は、前項に規定する事項のほか、別除権の目的である財産及び別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる債権の額を届け出なければならない。

(届出の追完等)

第九十五条再生債権者がその責めに帰することができない事由によって債権届出期間内に届出をすることができなかった場合には、その事由が消滅した後一月以内に限り、その届出の追完をすることができる。

前項に定める届出の追完の期間は、伸長し、又は短縮することができない。

債権届出期間経過後に生じた再生債権については、その権利の発生した後一月の不変期間内に、届出をしなければならない。

第一項及び第三項の届出は、再生計画案を決議に付する旨の決定がされた後は、することができない。

第一項、第二項及び前項の規定は、再生債権者が、その責めに帰することができない事由によって、届け出た事項について他の再生債権者の利益を害すべき変更を加える場合について準用する。

(届出名義の変更)

第九十六条届出をした再生債権を取得した者は、債権届出期間が経過した後でも、届出名義の変更を受けることができる。第百一条第三項の規定により認否書に記載された再生債権を取得した者についても、同様とする。

(罰金、科料等の届出)

第九十七条再生手続開始前の罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金又は過料(共益債権又は一般優先債権であるものを除く。以下「再生手続開始前の罰金等」という。)については、国又は地方公共団体は、遅滞なく、その額及び原因を裁判所に届け出なければならない。

第九十八条削除

第三節 再生債権の調査及び確定

(再生債権者表の作成等)

第九十九条裁判所書記官は、届出があった再生債権及び第百一条第三項の規定により再生債務者等が認否書に記載した再生債権について、再生債権者表を作成しなければならない。

前項の再生債権者表には、各債権について、その内容(約定劣後再生債権であるかどうかの別を含む。以下この節において同じ。)及び原因、議決権の額、第九十四条第二項に規定する債権の額その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。

再生債権者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができる。

(再生債権の調査)

第百条裁判所による再生債権の調査は、前条第二項に規定する事項について、再生債務者等が作成した認否書並びに再生債権者及び再生債務者(管財人が選任されている場合に限る。)の書面による異議に基づいてする。

(認否書の作成及び提出)

第百一条再生債務者等は、債権届出期間内に届出があった再生債権について、その内容及び議決権についての認否を記載した認否書を作成しなければならない。

再生債務者等は、第九十五条の規定による届出又は届出事項の変更があった再生債権についても、その内容及び議決権(当該届出事項の変更があった場合には、変更後の内容及び議決権)についての認否を前項の認否書に記載することができる。

再生債務者等は、届出がされていない再生債権があることを知っている場合には、当該再生債権について、自認する内容その他最高裁判所規則で定める事項を第一項の認否書に記載しなければならない。

債権届出期間内に約定劣後再生債権の届出がなかったときは、前項の規定は、約定劣後再生債権で再生債務者等が知っているものについては、適用しない。

再生債務者等は、第三十四条第一項に規定する再生債権の調査をするための期間(以下「一般調査期間」という。)前の裁判所の定める期限までに、前各項の規定により作成した認否書を裁判所に提出しなければならない。

前項の規定により提出された認否書に、第一項に規定する再生債権の内容又は議決権についての認否の記載がないときは、再生債務者等において、これを認めたものとみなす。当該認否書に第二項に規定する再生債権の内容又は議決権のいずれかについての認否の記載がない場合についても、同様とする。

(一般調査期間における調査)

第百二条届出をした再生債権者(以下「届出再生債権者」という。)は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前条第一項若しくは第二項に規定する再生債権の内容若しくは議決権又は同条第三項の規定により認否書に記載された再生債権の内容について、書面で、異議を述べることができる。

再生債務者(管財人が選任されている場合に限る。)は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前項に規定する再生債権の内容について、書面で、異議を述べることができる。

一般調査期間を変更する決定をしたときは、その裁判書は、再生債務者、管財人及び届出再生債権者(債権届出期間の経過前にあっては、知れている再生債権者)に送達しなければならない。

前項の規定による送達は、第四十三条第四項に規定する方法によりすることができる。

前項の規定による送達をした場合においては、その郵便物等が通常到達すべきであった時に、送達があったものとみなす。

(特別調査期間における調査)

第百三条裁判所は、第九十五条の規定による届出があり、又は届出事項の変更があった再生債権について、その調査をするための期間(以下「特別調査期間」という。)を定めなければならない。ただし、再生債務者等が第百一条第二項の規定により認否書に当該再生債権の内容又は議決権についての認否を記載している場合は、この限りでない。

前項本文の場合には、特別調査期間に関する費用は、当該再生債権を有する者の負担とする。

再生債務者等は、特別調査期間に係る再生債権について、その内容及び議決権についての認否を記載した認否書を作成し、特別調査期間前の裁判所の定める期限までに、これを裁判所に提出しなければならない。この場合には、第百一条第六項前段の規定を準用する。

届出再生債権者は前項の再生債権の内容又は議決権について、再生債務者(管財人が選任されている場合に限る。)は同項の再生債権の内容について、特別調査期間内に、裁判所に対して、書面で、異議を述べることができる。

前条第三項から第五項までの規定は、特別調査期間を定める決定又はこれを変更する決定をした場合における裁判書の送達について準用する。

(特別調査期間に関する費用の予納)

第百三条の二 前条第一項本文の場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、同条第二項の再生債権を有する者に対し、同項の費用の予納を命じなければならない。

前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。

第一項の規定による処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、異議の申立てをすることができる。

前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。

第一項の場合において、同項の再生債権を有する者が同項の費用の予納をしないときは、裁判所は、決定で、その者がした再生債権の届出又は届出事項の変更に係る届出を却下しなければならない。

前項の規定による却下の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

(再生債権の調査の結果)

第百四条再生債権の調査において、再生債務者等が認め、かつ、調査期間内に届出再生債権者の異議がなかったときは、その再生債権の内容又は議決権の額(第百一条第三項の規定により認否書に記載された再生債権にあっては、その内容)は、確定する。

裁判所書記官は、再生債権の調査の結果を再生債権者表に記載しなければならない。

第一項の規定により確定した再生債権については、再生債権者表の記載は、再生債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有する。

(再生債権の査定の裁判)

第百五条再生債権の調査において、再生債権の内容について再生債務者等が認めず、又は届出再生債権者が異議を述べた場合には、当該再生債権(以下「異議等のある再生債権」という。)を有する再生債権者は、その内容の確定のために、当該再生債務者等及び当該異議を述べた届出再生債権者(以下この条から第百七条まで及び第百九条において「異議者等」という。)の全員を相手方として、裁判所に査定の申立てをすることができる。ただし、第百七条第一項並びに第百九条第一項及び第二項の場合は、この限りでない。

前項本文の査定の申立ては、異議等のある再生債権に係る調査期間の末日から一月の不変期間内にしなければならない。

第一項本文の査定の申立てがあった場合には、裁判所は、当該申立てを不適法として却下する場合を除き、査定の裁判をしなければならない。

査定の裁判においては、異議等のある再生債権について、その債権の存否及びその内容を定める。

裁判所は、査定の裁判をする場合には、異議者等を審尋しなければならない。

第一項本文の査定の申立てについての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

(査定の申立てについての裁判に対する異議の訴え)

第百六条前条第一項本文の査定の申立てについての裁判に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。

前項の訴えは、再生裁判所が管轄する。

第一項の訴えが提起された第一審裁判所は、再生裁判所が再生事件を管轄することの根拠となる法令上の規定が第五条第八項又は第九項の規定のみである場合(再生裁判所が第七条第四号の規定により再生事件の移送を受けた場合において、移送を受けたことの根拠となる規定が同号ロ又はハの規定のみであるときを含む。)において、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、職権で、当該訴えに係る訴訟を第五条第一項に規定する地方裁判所(同項に規定する地方裁判所がない場合にあっては、同条第二項に規定する地方裁判所)に移送することができる。

第一項の訴えが提起された第一審裁判所は、再生裁判所が再生事件を管轄することの根拠となる法令上の規定が第五条第八項又は第九項の規定のみである場合(再生裁判所が第七条第四号の規定により再生事件の移送を受けた場合において、移送を受けたことの根拠となる規定が同号ロ又はハの規定のみであるときを含む。)において、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、職権で、当該訴えに係る訴訟を第五条第一項に規定する地方裁判所(同項に規定する地方裁判所がない場合にあっては、同条第二項に規定する地方裁判所)に移送することができる。

第一項の訴えは、これを提起する者が、異議等のある再生債権を有する再生債権者であるときは異議者等の全員を、異議者等であるときは当該再生債権者を、それぞれ被告としなければならない。

第一項の訴えの口頭弁論は、同項の期間を経過した後でなければ開始することができない。

同一の債権に関し第一項の訴えが数個同時に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。この場合においては、民事訴訟法第四十条第一項から第三項までの規定を準用する。

第一項の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、同項の裁判を認可し、又は変更する。

(異議等のある再生債権に関する訴訟の受継)br> 第百七条 異議等のある再生債権に関し再生手続開始当時訴訟が係属する場合において、再生債権者がその内容の確定を求めようとするときは、異議者等の全員を当該訴訟の相手方として、訴訟手続の受継の申立てをしなければならない。

第百五条第二項の規定は、前項の申立てについて準用する。

(主張の制限)br> 第百八条 第百五条第一項本文の査定の申立てに係る査定の手続又は第百六条第一項の訴えの提起若しくは前条第一項の規定による受継に係る訴訟手続においては、再生債権者は、異議等のある再生債権の内容及び原因について、再生債権者表に記載されている事項のみを主張することができる。

(執行力ある債務名義のある債権等に対する異議の主張)

第百九条異議等のある再生債権のうち執行力ある債務名義又は終局判決のあるものについては、異議者等は、再生債務者がすることのできる訴訟手続によってのみ、異議を主張することができる。

前項に規定する再生債権に関し再生手続開始当時訴訟が係属する場合において、異議者等が同項の規定による異議を主張しようとするときは、異議者等は、当該再生債権を有する再生債権者を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。

第百五条第二項は第一項の規定による異議の主張又は前項の規定による受継について、第百六条第五項及び第六項並びに前条の規定は前二項の場合について準用する。この場合においては、第百六条第五項中「同項の期間」とあるのは、「異議等のある再生債権に係る調査期間の末日から一月の不変期間」と読み替えるものとする。

前項において準用する第百五条第二項に規定する期間内に第一項の規定による異議の主張又は第二項の規定による受継がされなかった場合には、異議者等が再生債権者であるときは第百二条第一項又は第百三条第四項の異議はなかったものとみなし、異議者等が再生債務者等であるときは再生債務者等においてその再生債権を認めたものとみなす。

(再生債権の確定に関する訴訟の結果の記載)

第百十条裁判所書記官は、再生債務者等又は再生債権者の申立てにより、再生債権の確定に関する訴訟の結果(第百五条第一項本文の査定の申立てについての裁判に対する第百六条第一項の訴えが、同項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該裁判の内容)を再生債権者表に記載しなければならない。

(再生債権の確定に関する訴訟の判決等の効力)

第百十一条再生債権の確定に関する訴訟についてした判決は、再生債権者の全員に対して、その効力を有する。

第百五条第一項本文の査定の申立てについての裁判に対する第百六条第一項の訴えが、同項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該裁判は、再生債権者の全員に対して、確定判決と同一の効力を有する。

(訴訟費用の償還)

第百十二条再生債務者財産が再生債権の確定に関する訴訟(第百五条第一項本文の査定の申立てについての裁判を含む。)によって利益を受けたときは、異議を主張した再生債権者は、その利益の限度において、再生債務者財産から訴訟費用の償還を請求することができる。

(再生手続終了の場合における再生債権の確定手続の取扱い)

第百十二条の二 再生手続が終了した際現に係属する第百五条第一項本文の査定の申立てに係る査定の手続は、再生計画認可の決定の確定前に再生手続が終了したときは終了するものとし、再生計画認可の決定の確定後に再生手続が終了したときは引き続き係属するものとする。

第六十八条第二項及び第三項の規定は、再生計画認可の決定の確定後に再生手続が終了した場合における管財人を当事者とする第百五条第一項本文の査定の申立てに係る査定の手続について準用する。

再生計画認可の決定の確定後に再生手続が終了した場合において、再生手続終了後に第百五条第一項本文の査定の申立てについての裁判があったときは、第百六条第一項の規定により同項の訴えを提起することができる。

再生手続が終了した際現に係属する第百六条第一項の訴えに係る訴訟手続であって、再生債務者等が当事者でないものは、再生計画認可の決定の確定前に再生手続が終了したときは中断するものとし、再生計画認可の決定の確定後に再生手続が終了したときは引き続き係属するものとする。

再生手続が終了した際現に係属する訴訟手続(再生債務者等が当事者であるものを除く。)であって、第百七条第一項又は第百九条第二項の規定による受継があったものは、再生計画認可の決定の確定前に再生手続が終了したときは中断するものとし、再生計画認可の決定の確定後に再生手続が終了したときは中断しないものとする。

前項の規定により訴訟手続が中断する場合においては、第六十八条第三項の規定を準用する。

(再生手続開始前の罰金等についての不服の申立て)

第百十三条再生手続開始前の罰金等については、第百条から前条までの規定は、適用しない。

第九十七条の規定による届出があった追徴金又は過料の原因が審査請求、訴訟(刑事訴訟を除く。次項において同じ。)その他の不服の申立てをすることができる処分である場合には、再生債務者等は、当該追徴金又は過料について、当該不服の申立てをする方法で、異議を主張することができる。

前項の場合において、当該届出があった追徴金又は過料の請求権に関し再生手続開始の当時訴訟が係属するときは、同項に規定する異議を主張しようとする再生債務者等は、当該届出があった追徴金又は過料の請求権を有する再生債権者を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。当該届出があった追徴金又は過料の請求権に関し再生手続開始当時再生債務者の財産関係の事件が行政庁に係属するときも、同様とする。

第二項の規定による異議の主張又は前項の規定による受継は、再生債務者等が第二項に規定する追徴金又は過料の届出があったことを知った日から一月の不変期間内にしなければならない。

第百四条第二項の規定は第九十七条の規定による届出があった再生手続開始前の罰金等について、第百八条、第百十条及び第百十一条第一項の規定は第二項の規定による異議又は第三項の規定による受継があった場合について準用する。

第四節 債権者集会及び債権者委員会

(債権者集会の招集)

第百十四条裁判所は、再生債務者等若しくは第百十七条第二項に規定する債権者委員会の申立て又は知れている再生債権者の総債権について裁判所が評価した額の十分の一以上に当たる債権を有する再生債権者の申立てがあったときは、債権者集会を招集しなければならない。これらの申立てがない場合であっても、裁判所は、相当と認めるときは、債権者集会を招集することができる。

(債権者集会の期日の呼出し等)

第百十五条債権者集会の期日には、再生債務者、管財人、届出再生債権者及び再生のために債務を負担し又は担保を提供する者があるときは、その者を呼び出さなければならない。ただし、第三十四条第二項の決定があったときは、再生計画案の決議をするための債権者集会の期日を除き、届出再生債権者を呼び出すことを要しない。

前項の規定にかかわらず、議決権を行使することができない届出再生債権者は、呼び出さないことができる。

債権者集会の期日は、労働組合等に通知しなければならない。

裁判所は、債権者集会の期日及び会議の目的である事項を公告しなければならない。

債権者集会の期日においてその延期又は続行について言渡しがあったときは、第一項及び前二項の規定は、適用しない。

(債権者集会の指揮)

第百十六条債権者集会は、裁判所が指揮する。

(債権者委員会)

第百十七条裁判所は、再生債権者をもって構成する委員会がある場合には、利害関係人の申立てにより、当該委員会が、この法律の定めるところにより、再生手続に関与することを承認することができる。ただし、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限る。

一 委員の数が、三人以上最高裁判所規則で定める人数以内であること。

二 再生債権者の過半数が当該委員会が再生手続に関与することについて同意していると認められること。

三 当該委員会が再生債権者全体の利益を適切に代表すると認められること。

裁判所は、必要があると認めるときは、再生手続において、前項の規定により承認された委員会(以下「債権者委員会」という。)に対して、意見の陳述を求めることができる。

債権者委員会は、再生手続において、裁判所、再生債務者等又は監督委員に対して、意見を述べることができる。

債権者委員会に再生債務者の再生に貢献する活動があったと認められるときは、裁判所は、当該活動のために必要な費用を支出した再生債権者の申立てにより、再生債務者財産から、当該再生債権者に対し、相当と認める額の費用を償還することを許可することができる。

裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、いつでも第一項の規定による承認を取り消すことができる。

(債権者委員会の意見聴取)

第百十八条裁判所書記官は、前条第一項の規定による承認があったときは、遅滞なく、再生債務者等に対して、その旨を通知しなければならない。

再生債務者等は、前項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、再生債務者の業務及び財産の管理に関する事項について、債権者委員会の意見を聴かなければならない。

(再生債務者等の債権者委員会に対する報告義務)

第百十八条の二 再生債務者等は、第百二十四条第二項又は第百二十五条第一項若しくは第二項の規定により報告書等(報告書、財産目録又は貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を裁判所に提出したときは、遅滞なく、当該報告書等を債権者委員会にも提出しなければならない。

再生債務者等は、前項の場合において、当該報告書等に第十七条第一項に規定する支障部分に該当する部分があると主張して同項の申立てをしたときは、当該部分を除いた報告書等を債権者委員会に提出すれば足りる。

(再生債務者等に対する報告命令)

第百十八条の三 債権者委員会は、再生債権者全体の利益のために必要があるときは、裁判所に対し、再生債務者等に再生債務者の業務及び財産の管理状況その他再生債務者の事業の再生に関し必要な事項について第百二十五条第二項の規定による報告をすることを命ずるよう申し出ることができる。

前項の規定による申出を受けた裁判所は、当該申出が相当であると認めるときは、再生債務者等に対し、第百二十五条第二項の規定による報告をすることを命じなければならない。

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