破産法

第二章 破産手続の開始

第一節 破産手続開始の申立て

(破産手続開始の原因)

第十五条債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。

債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。

(法人の破産手続開始の原因)

第十六条債務者が法人である場合に関する前条第一項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。

前項の規定は、存立中の合名会社及び合資会社には、適用しない。

(破産手続開始の原因の推定)

第十七条債務者についての外国で開始された手続で破産手続に相当するものがある場合には、当該債務者に破産手続開始の原因となる事実があるものと推定する。

(破産手続開始の申立て)

第十八条債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができる。

債権者が破産手続開始の申立てをするときは、その有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。

(法人の破産手続開始の申立て)

第十九条次の各号に掲げる法人については、それぞれ当該各号に定める者は、破産手続開始の申立てをすることができる。

一  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三十四条 の規定により設立された法人 理事

二  株式会社又は相互会社(保険業法 (平成七年法律第百五号)第二条第五項 に規定する相互会社をいう。第百五十条第六項第三号において同じ。) 取締役

三  合名会社、合資会社又は合同会社 業務を執行する社員

前項各号に掲げる法人については、清算人も、破産手続開始の申立てをすることができる。

前二項の規定により第一項各号に掲げる法人について破産手続開始の申立てをする場合には、理事、取締役、業務を執行する社員又は清算人の全員が破産手続開始の申立てをするときを除き、破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。

前三項の規定は、第一項各号に掲げる法人以外の法人について準用する。

法人については、その解散後であっても、残余財産の引渡し又は分配が終了するまでの間は、破産手続開始の申立てをすることができる。

(破産手続開始の申立ての方式)

第二十条破産手続開始の申立ては、最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならない。

債権者以外の者が破産手続開始の申立てをするときは、最高裁判所規則で定める事項を記載した債権者一覧表を裁判所に提出しなければならない。ただし、当該申立てと同時に債権者一覧表を提出することができないときは、当該申立ての後遅滞なくこれを提出すれば足りる。

(破産手続開始の申立書の審査)

第二十一条前条第一項の書面(以下この条において「破産手続開始の申立書」という。)に同項に規定する事項が記載されていない場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命ずる処分をしなければならない。民事訴訟費用等に関する法律 (昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い破産手続開始の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。

前項の処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。

第一項の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、異議の申立てをすることができる。

前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。

裁判所は、第三項の異議の申立てがあった場合において、破産手続開始の申立書に第一項の処分において補正を命じた不備以外の不備があると認めるときは、相当の期間を定め、その期間内に当該不備を補正すべきことを命じなければならない。

第一項又は前項の場合において、破産手続開始の申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、破産手続開始の申立書を却下しなければならない。

前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。

(費用の予納)

第二十二条破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。

費用の予納に関する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

(費用の仮支弁)

第二十三条裁判所は、申立人の資力、破産財団となるべき財産の状況その他の事情を考慮して、申立人及び利害関係人の利益の保護のため特に必要と認めるときは、破産手続の費用を仮に国庫から支弁することができる。職権で破産手続開始の決定をした場合も、同様とする。

前条第一項の規定は、前項前段の規定により破産手続の費用を仮に国庫から支弁する場合には、適用しない。

(他の手続の中止命令等)

第二十四条裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続の中止を命ずることができる。ただし、第一号に掲げる手続についてはその手続の申立人である債権者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限り、第五号に掲げる責任制限手続については責任制限手続開始の決定がされていない場合に限る。

一  債務者の財産に対して既にされている強制執行、仮差押え、仮処分又は一般の先取特権の実行若しくは留置権(商法 (明治三十二年法律第四十八号)又は会社法の規定によるものを除く。)による競売(以下この節において「強制執行等」という。)の手続で、債務者につき破産手続開始の決定がされたとすれば破産債権若しくは財団債権となるべきもの(以下この項及び次条第八項において「破産債権等」という。)に基づくもの又は破産債権等を被担保債権とするもの

二  債務者の財産に対して既にされている企業担保権の実行手続で、破産債権等に基づくもの

三  債務者の財産関係の訴訟手続

四  債務者の財産関係の事件で行政庁に係属しているものの手続

五  債務者の責任制限手続(船舶の所有者等の責任の制限に関する法律 (昭和五十年法律第九十四号)第三章 又は船舶油濁損害賠償保障法 (昭和五十年法律第九十五号)第五章 の規定による責任制限手続をいう。第二百六十三条及び第二百六十四条第一項において同じ。)

裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。

裁判所は、第九十一条第二項に規定する保全管理命令が発せられた場合において、債務者の財産の管理及び処分をするために特に必要があると認めるときは、保全管理人の申立てにより、担保を立てさせて、第一項の規定により中止した強制執行等の手続の取消しを命ずることができる。

第一項の規定による中止の命令、第二項の規定による決定及び前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。

前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

第四項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。

(包括的禁止命令)

第二十五条裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、前条第一項第一号の規定による中止の命令によっては破産手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、すべての債権者に対し、債務者の財産に対する強制執行等及び国税滞納処分(国税滞納処分の例による処分を含み、交付要求を除く。以下同じ。)の禁止を命ずることができる。ただし、事前に又は同時に、債務者の主要な財産に関し第二十八条第一項の規定による保全処分をした場合又は第九十一条第二項に規定する保全管理命令をした場合に限る。

前項の規定による禁止の命令(以下「包括的禁止命令」という。)を発する場合において、裁判所は、相当と認めるときは、一定の範囲に属する強制執行等又は国税滞納処分を包括的禁止命令の対象から除外することができる。

包括的禁止命令が発せられた場合には、債務者の財産に対して既にされている強制執行等の手続(当該包括的禁止命令により禁止されることとなるものに限る。)は、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、中止する。

裁判所は、包括的禁止命令を変更し、又は取り消すことができる。

裁判所は、第九十一条第二項に規定する保全管理命令が発せられた場合において、債務者の財産の管理及び処分をするために特に必要があると認めるときは、保全管理人の申立てにより、担保を立てさせて、第三項の規定により中止した強制執行等の手続の取消しを命ずることができる。

包括的禁止命令、第四項の規定による決定及び前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。

前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

包括的禁止命令が発せられたときは、破産債権等(当該包括的禁止命令により強制執行等又は国税滞納処分が禁止されているものに限る。)については、当該包括的禁止命令が効力を失った日の翌日から二月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。

(包括的禁止命令に関する公告及び送達等)

第二十六条包括的禁止命令及びこれを変更し、又は取り消す旨の決定があった場合には、その旨を公告し、その裁判書を債務者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人。次項において同じ。)及び申立人に送達し、かつ、その決定の主文を知れている債権者及び債務者(保全管理人が選任されている場合に限る。)に通知しなければならない。

包括的禁止命令及びこれを変更し、又は取り消す旨の決定は、債務者に対する裁判書の送達がされた時から、効力を生ずる。

前条第六項の即時抗告についての裁判(包括的禁止命令を変更し、又は取り消す旨の決定を除く。)があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。

(包括的禁止命令の解除)

第二十七条裁判所は、包括的禁止命令を発した場合において、強制執行等の申立人である債権者に不当な損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該債権者の申立てにより、当該債権者に限り当該包括的禁止命令を解除する旨の決定をすることができる。この場合において、当該債権者は、債務者の財産に対する強制執行等をすることができ、当該包括的禁止命令が発せられる前に当該債権者がした強制執行等の手続で第二十五条第三項の規定により中止されていたものは、続行する。

前項の規定は、裁判所が国税滞納処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがあると認める場合について準用する。

第一項(前項において準用する場合を含む。次項及び第六項において同じ。)の規定による解除の決定を受けた者に対する第二十五条第八項の規定の適用については、同項中「当該包括的禁止命令が効力を失った日」とあるのは、「第二十七条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)の規定による解除の決定があった日」とする。

第一項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

第一項の申立てについての裁判及び第四項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

(債務者の財産に関する保全処分)

第二十八条裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、債務者の財産に関し、その財産の処分禁止の仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。

裁判所は、前項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。

第一項の規定による保全処分及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

第三項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

裁判所が第一項の規定により債務者が債権者に対して弁済その他の債務を消滅させる行為をすることを禁止する旨の保全処分を命じた場合には、債権者は、破産手続の関係においては、当該保全処分に反してされた弁済その他の債務を消滅させる行為の効力を主張することができない。ただし、債権者が、その行為の当時、当該保全処分がされたことを知っていたときに限る。

(破産手続開始の申立ての取下げの制限)

第二十九条破産手続開始の申立てをした者は、破産手続開始の決定前に限り、当該申立てを取り下げることができる。この場合において、第二十四条第一項の規定による中止の命令、包括的禁止命令、前条第一項の規定による保全処分、第九十一条第二項に規定する保全管理命令又は第百七十一条第一項の規定による保全処分がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。

第二節 破産手続開始の決定

(破産手続開始の決定)

第三十条裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。

一  破産手続の費用の予納がないとき(第二十三条第一項前段の規定によりその費用を仮に国庫から支弁する場合を除く。)。

二  不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。

前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。

(破産手続開始の決定と同時に定めるべき事項等)

第三十一条裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、一人又は数人の破産管財人を選任し、かつ、次に掲げる事項を定めなければならない。

一  破産債権の届出をすべき期間

二  破産者の財産状況を報告するために招集する債権者集会(第四項、第百三十六条第二項及び第三項並びに第百五十八条において「財産状況報告集会」という。)の期日

三  破産債権の調査をするための期間(第百十六条第二項の場合にあっては、破産債権の調査をするための期日)

前項第一号及び第三号の規定にかかわらず、裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがあると認めるときは、同項第一号の期間並びに同項第三号の期間及び期日を定めないことができる。

前項の場合において、裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがなくなったと認めるときは、速やかに、第一項第一号の期間及び同項第三号の期間又は期日を定めなければならない。

第一項第二号の規定にかかわらず、裁判所は、知れている破産債権者の数その他の事情を考慮して財産状況報告集会を招集することを相当でないと認めるときは、同号の期日を定めないことができる。

第一項の場合において、知れている破産債権者の数が千人以上であり、かつ、相当と認めるときは、裁判所は、次条第四項本文及び第五項本文において準用する同条第三項第一号、第三十三条第三項本文並びに第百三十九条第三項本文の規定による破産債権者(同項本文の場合にあっては、同項本文に規定する議決権者。次条第二項において同じ。)に対する通知をせず、かつ、第百十一条、第百十二条又は第百十四条の規定により破産債権の届出をした破産債権者(以下「届出をした破産債権者」という。)を債権者集会の期日に呼び出さない旨の決定をすることができる。

(破産手続開始の公告等)

第三十二条裁判所は、破産手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。

一  破産手続開始の決定の主文

二  破産管財人の氏名又は名称

三  前条第一項の規定により定めた期間又は期日

四  破産財団に属する財産の所持者及び破産者に対して債務を負担する者(第三項第二号において「財産所持者等」という。)は、破産者にその財産を交付し、又は弁済をしてはならない旨

五  第二百四条第一項第二号の規定による簡易配当をすることが相当と認められる場合にあっては、簡易配当をすることにつき異議のある破産債権者は裁判所に対し前条第一項第三号の期間の満了時又は同号の期日の終了時までに異議を述べるべき旨

前条第五項の決定があったときは、裁判所は、前項各号に掲げる事項のほか、第四項本文及び第五項本文において準用する次項第一号、次条第三項本文並びに第百三十九条第三項本文の規定による破産債権者に対する通知をせず、かつ、届出をした破産債権者を債権者集会の期日に呼び出さない旨をも公告しなければならない。

次に掲げる者には、前二項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。

一  破産管財人、破産者及び知れている破産債権者

二  知れている財産所持者等

三  第九十一条第二項に規定する保全管理命令があった場合における保全管理人

四  労働組合等(破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは破産者の使用人その他の従業者の過半数を代表する者をいう。第七十八条第四項及び第百三十六条第三項において同じ。)

第一項第三号及び前項第一号の規定は、前条第三項の規定により同条第一項第一号の期間及び同項第三号の期間又は期日を定めた場合について準用する。ただし、同条第五項の決定があったときは、知れている破産債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。

第一項第二号並びに第三項第一号及び第二号の規定は第一項第二号に掲げる事項に変更を生じた場合について、第一項第三号及び第三項第一号の規定は第一項第三号に掲げる事項に変更を生じた場合(前条第一項第一号の期間又は同項第二号の期日に変更を生じた場合に限る。)について準用する。ただし、同条第五項の決定があったときは、知れている破産債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。

(抗告)

第三十三条破産手続開始の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

第二十四条から第二十八条までの規定は、破産手続開始の申立てを棄却する決定に対して前項の即時抗告があった場合について準用する。

破産手続開始の決定をした裁判所は、第一項の即時抗告があった場合において、当該決定を取り消す決定が確定したときは、直ちにその主文を公告し、かつ、前条第三項各号(第三号を除く。)に掲げる者にその主文を通知しなければならない。ただし、第三十一条第五項の決定があったときは、知れている破産債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。

第三節 破産手続開始の効果

第一款 通則

(破産財団の範囲)

第三十四条破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。

破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権は、破産財団に属する。

第一項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。

一  民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)第百三十一条第三号 に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭

二  差し押さえることができない財産(民事執行法第百三十一条第三号 に規定する金銭を除く。)。ただし、同法第百三十二条第一項 (同法第百九十二条 において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。

裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。

裁判所は、前項の決定をするに当たっては、破産管財人の意見を聴かなければならない。

第四項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。

第四項の決定又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を破産者及び破産管財人に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

(法人の存続の擬制)

第三十五条他の法律の規定により破産手続開始の決定によって解散した法人又は解散した法人で破産手続開始の決定を受けたものは、破産手続による清算の目的の範囲内において、破産手続が終了するまで存続するものとみなす。

(破産者の事業の継続)

第三十六条破産手続開始の決定がされた後であっても、破産管財人は、裁判所の許可を得て、破産者の事業を継続することができる。

(破産者の居住に係る制限)

第三十七条破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。

前項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。

(破産者の引致)

第三十八条裁判所は、必要と認めるときは、破産者の引致を命ずることができる。

破産手続開始の申立てがあったときは、裁判所は、破産手続開始の決定をする前でも、債務者の引致を命ずることができる。

前二項の規定による引致は、引致状を発してしなければならない。

第一項又は第二項の規定による引致を命ずる決定に対しては、破産者又は債務者は、即時抗告をすることができる。

刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)中勾引に関する規定は、第一項及び第二項の規定による引致について準用する。

(破産者に準ずる者への準用)

第三十九条前二条の規定は、破産者の法定代理人及び支配人並びに破産者の理事、取締役、執行役及びこれらに準ずる者について準用する。

(破産者等の説明義務)

第四十条次に掲げる者は、破産管財人若しくは第百四十四条第二項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。ただし、第五号に掲げる者については、裁判所の許可がある場合に限る。

一  破産者

二  破産者の代理人

三  破産者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役及び清算人

四  前号に掲げる者に準ずる者

五  破産者の従業者(第二号に掲げる者を除く。)

前項の規定は、同項各号(第一号を除く。)に掲げる者であった者について準用する。

(破産者の重要財産開示義務)

第四十一条破産者は、破産手続開始の決定後遅滞なく、その所有する不動産、現金、有価証券、預貯金その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。

(他の手続の失効等)

第四十二条破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行又は企業担保権の実行で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。

前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

前項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行の手続については、民事執行法第六十三条 及び第百二十九条 (これらの規定を同法 その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。

第二項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行の手続に関する破産者に対する費用請求権は、財団債権とする。

第二項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行に対する第三者異議の訴えについては、破産管財人を被告とする。

破産手続開始の決定があったときは、破産債権又は財団債権に基づく財産開示手続(民事執行法第百九十六条 に規定する財産開示手続をいう。以下この項並びに第二百四十九条第一項及び第二項において同じ。)の申立てはすることができず、破産債権又は財団債権に基づく財産開示手続はその効力を失う。

(国税滞納処分等の取扱い)

第四十三条破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する国税滞納処分は、することができない。

破産財団に属する財産に対して国税滞納処分が既にされている場合には、破産手続開始の決定は、その国税滞納処分の続行を妨げない。

破産手続開始の決定があったときは、破産手続が終了するまでの間は、罰金、科料及び追徴の時効は、進行しない。免責許可の申立てがあった後当該申立てについての裁判が確定するまでの間(破産手続開始の決定前に免責許可の申立てがあった場合にあっては、破産手続開始の決定後当該申立てについての裁判が確定するまでの間)も、同様とする。

(破産財団に関する訴えの取扱い)

第四十四条破産手続開始の決定があったときは、破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。

破産管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続のうち破産債権に関しないものを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

前項の場合においては、相手方の破産者に対する訴訟費用請求権は、財団債権とする。

破産手続が終了したときは、破産管財人を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。

破産者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があるまでに破産手続が終了したときは、破産者は、当然訴訟手続を受継する。

(債権者代位訴訟及び詐害行為取消訴訟の取扱い)

第四十五条民法第四百二十三条 又は第四百二十四条 の規定により破産債権者又は財団債権者の提起した訴訟が破産手続開始当時係属するときは、その訴訟手続は、中断する。

破産管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

前項の場合においては、相手方の破産債権者又は財団債権者に対する訴訟費用請求権は、財団債権とする。

第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があった後に破産手続が終了したときは、当該訴訟手続は、中断する。

前項の場合には、破産債権者又は財団債権者において当該訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があるまでに破産手続が終了したときは、破産債権者又は財団債権者は、当然訴訟手続を受継する。

(行政庁に係属する事件の取扱い)

第四十六条第四十四条の規定は、破産財団に関する事件で行政庁に係属するものについて準用する。

第二款 破産手続開始の効果

(開始後の法律行為の効力)

第四十七条破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産に関してした法律行為は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。

破産者が破産手続開始の日にした法律行為は、破産手続開始後にしたものと推定する。

(開始後の権利取得の効力)

第四十八条破産手続開始後に破産財団に属する財産に関して破産者の法律行為によらないで権利を取得しても、その権利の取得は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。

前条第二項の規定は、破産手続開始の日における前項の権利の取得について準用する。

(開始後の登記及び登録の効力)

第四十九条不動産又は船舶に関し破産手続開始前に生じた登記原因に基づき破産手続開始後にされた登記又は不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)第百五条第一号 の規定による仮登記は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。ただし、登記権利者が破産手続開始の事実を知らないでした登記又は仮登記については、この限りでない。

前項の規定は、権利の設定、移転若しくは変更に関する登録若しくは仮登録又は企業担保権の設定、移転若しくは変更に関する登記について準用する。

(開始後の破産者に対する弁済の効力)

第五十条破産手続開始後に、その事実を知らないで破産者にした弁済は、破産手続の関係においても、その効力を主張することができる。

破産手続開始後に、その事実を知って破産者にした弁済は、破産財団が受けた利益の限度においてのみ、破産手続の関係において、その効力を主張することができる。

(善意又は悪意の推定)

第五十一条前二条の規定の適用については、第三十二条第一項の規定による公告の前においてはその事実を知らなかったものと推定し、当該公告の後においてはその事実を知っていたものと推定する。

(共有関係)

第五十二条数人が共同して財産権を有する場合において、共有者の中に破産手続開始の決定を受けた者があるときは、その共有に係る財産の分割の請求は、共有者の間で分割をしない旨の定めがあるときでも、することができる。

前項の場合には、他の共有者は、相当の償金を支払って破産者の持分を取得することができる。

(双務契約)

第五十三条双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。

前項の場合には、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなす。

前項の規定は、相手方又は破産管財人が民法第六百三十一条 前段の規定により解約の申入れをすることができる場合又は同法第六百四十二条第一項 前段の規定により契約の解除をすることができる場合について準用する。

第五十四条前条第一項又は第二項の規定により契約の解除があった場合には、相手方は、損害の賠償について破産債権者としてその権利を行使することができる。

前項に規定する場合において、相手方は、破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存するときは、その返還を請求することができ、現存しないときは、その価額について財団債権者としてその権利を行使することができる。

(継続的給付を目的とする双務契約)

第五十五条破産者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、破産手続開始の申立て前の給付に係る破産債権について弁済がないことを理由としては、破産手続開始後は、その義務の履行を拒むことができない。

前項の双務契約の相手方が破産手続開始の申立て後破産手続開始前にした給付に係る請求権(一定期間ごとに債権額を算定すべき継続的給付については、申立ての日の属する期間内の給付に係る請求権を含む。)は、財団債権とする。

前二項の規定は、労働契約には、適用しない。

(賃貸借契約等)

第五十六条第五十三条第一項及び第二項の規定は、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない。

前項に規定する場合には、相手方の有する請求権は、財団債権とする。

(委任契約)

第五十七条委任者について破産手続が開始された場合において、受任者は、民法第六百五十五条 の規定による破産手続開始の通知を受けず、かつ、破産手続開始の事実を知らないで委任事務を処理したときは、これによって生じた債権について、破産債権者としてその権利を行使することができる。

(市場の相場がある商品の取引に係る契約)

第五十八条取引所の相場その他の市場の相場がある商品の取引に係る契約であって、その取引の性質上特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができないものについて、その時期が破産手続開始後に到来すべきときは、当該契約は、解除されたものとみなす。

前項の場合において、損害賠償の額は、履行地又はその地の相場の標準となるべき地における同種の取引であって同一の時期に履行すべきものの相場と当該契約における商品の価格との差額によって定める。

第五十四条第一項の規定は、前項の規定による損害の賠償について準用する。

第一項又は第二項に定める事項について当該取引所又は市場における別段の定めがあるときは、その定めに従う。

第一項の取引を継続して行うためにその当事者間で締結された基本契約において、その基本契約に基づいて行われるすべての同項の取引に係る契約につき生ずる第二項に規定する損害賠償の債権又は債務を差引計算して決済する旨の定めをしたときは、請求することができる損害賠償の額の算定については、その定めに従う。

(交互計算)

第五十九条交互計算は、当事者の一方について破産手続が開始されたときは、終了する。この場合においては、各当事者は、計算を閉鎖して、残額の支払を請求することができる。

前項の規定による請求権は、破産者が有するときは破産財団に属し、相手方が有するときは破産債権とする。

(為替手形の引受け又は支払等)

第六十条為替手形の振出人又は裏書人について破産手続が開始された場合において、支払人又は予備支払人がその事実を知らないで引受け又は支払をしたときは、その支払人又は予備支払人は、これによって生じた債権につき、破産債権者としてその権利を行使することができる。

前項の規定は、小切手及び金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする有価証券について準用する。

第五十一条の規定は、前二項の規定の適用について準用する。

(夫婦財産関係における管理者の変更等)

第六十一条民法第七百五十八条第二項 及び第三項 並びに第七百五十九条 の規定は配偶者の財産を管理する者につき破産手続が開始された場合について、同法第八百三十五条 の規定は親権を行う者につき破産手続が開始された場合について準用する。

家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)の適用に関しては、前項において準用する民法第七百五十八条第二項 及び第三項 の規定による財産の管理者の変更及び共有財産の分割に関する処分は家事審判法第九条第一項 乙類に掲げる事項とみなし、前項において準用する民法第八百三十五条 の規定による管理権の喪失の宣告は家事審判法第九条第一項 甲類に掲げる事項とみなす。

第三款 取戻権

(取戻権)

第六十二条破産手続の開始は、破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利(第六十四条及び第七十八条第二項第十三号において「取戻権」という。)に影響を及ぼさない。

(運送中の物品の売主等の取戻権)

第六十三条売主が売買の目的である物品を買主に発送した場合において、買主がまだ代金の全額を弁済せず、かつ、到達地でその物品を受け取らない間に買主について破産手続開始の決定があったときは、売主は、その物品を取り戻すことができる。ただし、破産管財人が代金の全額を支払ってその物品の引渡しを請求することを妨げない。

前項の規定は、第五十三条第一項及び第二項の規定の適用を妨げない。

第一項の規定は、物品の買入れの委託を受けた問屋がその物品を委託者に発送した場合について準用する。この場合において、同項中「代金」とあるのは、「報酬及び費用」と読み替えるものとする。

(代償的取戻権)

第六十四条破産者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)が破産手続開始前に取戻権の目的である財産を譲り渡した場合には、当該財産について取戻権を有する者は、反対給付の請求権の移転を請求することができる。破産管財人が取戻権の目的である財産を譲り渡した場合も、同様とする。

前項の場合において、破産管財人が反対給付を受けたときは、同項の取戻権を有する者は、破産管財人が反対給付として受けた財産の給付を請求することができる。

第四款 別除権

(別除権)

第六十五条別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。

担保権(特別の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この項において同じ。)の目的である財産が破産管財人による任意売却その他の事由により破産財団に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。

(留置権の取扱い)

第六十六条破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき存する商法 又は会社法 の規定による留置権は、破産財団に対しては特別の先取特権とみなす。

前項の特別の先取特権は、民法 その他の法律の規定による他の特別の先取特権に後れる。

第一項に規定するものを除き、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき存する留置権は、破産財団に対してはその効力を失う。

第五款 相殺権

(相殺権)

第六十七条破産債権者は、破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで、相殺をすることができる。

破産債権者の有する債権が破産手続開始の時において期限付若しくは解除条件付であるとき、又は第百三条第二項第一号に掲げるものであるときでも、破産債権者が前項の規定により相殺をすることを妨げない。破産債権者の負担する債務が期限付若しくは条件付であるとき、又は将来の請求権に関するものであるときも、同様とする。

(相殺に供することができる破産債権の額)

第六十八条破産債権者が前条の規定により相殺をする場合の破産債権の額は、第百三条第二項各号に掲げる債権の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額とする。

前項の規定にかかわらず、破産債権者の有する債権が無利息債権又は定期金債権であるときは、その破産債権者は、その債権の債権額から第九十九条第一項第二号から第四号までに掲げる部分の額を控除した額の限度においてのみ、相殺をすることができる。

(解除条件付債権を有する者による相殺)

第六十九条解除条件付債権を有する者が相殺をするときは、その相殺によって消滅する債務の額について、破産財団のために、担保を供し、又は寄託をしなければならない。

(停止条件付債権等を有する者による寄託の請求)

第七十条停止条件付債権又は将来の請求権を有する者は、破産者に対する債務を弁済する場合には、後に相殺をするため、その債権額の限度において弁済額の寄託を請求することができる。敷金の返還請求権を有する者が破産者に対する賃料債務を弁済する場合も、同様とする。

(相殺の禁止)

第七十一条破産債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。

一  破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき。

二  支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し、又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。

三  支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。

四  破産手続開始の申立てがあった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。

前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。

一  法定の原因

二  支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産債権者が知った時より前に生じた原因

三  破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因

第七十二条破産者に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。

一  破産手続開始後に他人の破産債権を取得したとき。

二  支払不能になった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。

三  支払の停止があった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。

四  破産手続開始の申立てがあった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。

前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する破産債権の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。

一  法定の原因

二  支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因

三  破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因

四  破産者に対して債務を負担する者と破産者との間の契約

(破産管財人の催告権)

第七十三条破産管財人は、第三十一条第一項第三号の期間が経過した後又は同号の期日が終了した後は、第六十七条の規定により相殺をすることができる破産債権者に対し、一月以上の期間を定め、その期間内に当該破産債権をもって相殺をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。ただし、破産債権者の負担する債務が弁済期にあるときに限る。

前項の規定による催告があった場合において、破産債権者が同項の規定により定めた期間内に確答をしないときは、当該破産債権者は、破産手続の関係においては、当該破産債権についての相殺の効力を主張することができない。

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