破産法
第十三章 雑則
(法人の破産手続に関する登記の嘱託等)
第二百五十七条法人である債務者について破産手続開始の決定があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、破産手続開始の登記を当該破産者の各営業所又は各事務所(法令の規定により当該営業所又は事務所の所在地における登記において登記すべき事項として当該法人を代表する者が定められているものに限る。)の所在地の登記所に嘱託しなければならない。ただし、破産者が外国会社であるときは、日本における各代表者(日本に住所を有するものに限る。)の住所地(日本に営業所を設けた外国会社にあっては、当該各営業所の所在地)の登記所に嘱託しなければならない。
2前項の登記には、破産管財人の氏名又は名称及び住所、破産管財人がそれぞれ単独にその職務を行うことについて第七十六条第一項ただし書の許可があったときはその旨並びに破産管財人が職務を分掌することについて同項ただし書の許可があったときはその旨及び各破産管財人が分掌する職務の内容をも登記しなければならない。
3第一項の規定は、前項に規定する事項に変更が生じた場合について準用する。
4第一項の債務者について保全管理命令が発せられたときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、保全管理命令の登記を同項に規定する登記所に嘱託しなければならない。
5前項の登記には、保全管理人の氏名又は名称及び住所、保全管理人がそれぞれ単独にその職務を行うことについて第九十六条第一項において準用する第七十六条第一項ただし書の許可があったときはその旨並びに保全管理人が職務を分掌することについて第九十六条第一項において準用する第七十六条第一項ただし書の許可があったときはその旨及び各保全管理人が分掌する職務の内容をも登記しなければならない。
6第四項の規定は、同項に規定する裁判の変更若しくは取消しがあった場合又は前項に規定する事項に変更が生じた場合について準用する。
7第一項の規定は、同項の破産者につき、破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定した場合又は破産手続終結の決定があった場合について準用する。
8前各項の規定は、限定責任信託に係る信託財産について破産手続開始の決定があった場合について準用する。この場合において、第一項中「当該破産者の各営業所又は各事務所(法令の規定により当該営業所又は事務所の所在地における登記において登記すべき事項として当該法人を代表する者が定められているものに限る。)の所在地」とあるのは、「当該限定責任信託の事務処理地(信託法第二百十六条第二項第四号 に規定する事務処理地をいう。)」と読み替えるものとする。
(個人の破産手続に関する登記の嘱託等)
第二百五十八条個人である債務者について破産手続開始の決定があった場合において、次に掲げるときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、破産手続開始の登記を登記所に嘱託しなければならない。
一 当該破産者に関する登記があることを知ったとき。
二 破産財団に属する権利で登記がされたものがあることを知ったとき。
2前項の規定は、当該破産者につき、破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定した場合又は破産手続終結の決定があった場合について準用する。
3裁判所書記官は、第一項第二号の規定により破産手続開始の登記がされた権利について、第三十四条第四項の決定により破産財団に属しないこととされたときは、職権で、遅滞なく、その登記の抹消を嘱託しなければならない。破産管財人がその登記がされた権利を放棄し、その登記の抹消の嘱託の申立てをしたときも、同様とする。
4第一項第二号(第二項において準用する場合を含む。)及び前項後段の規定は、相続財産又は信託財産について破産手続開始の決定があった場合について準用する。
5第一項第二号の規定は、信託財産について保全管理命令があった場合又は当該保全管理命令の変更若しくは取消しがあった場合について準用する。
(保全処分に関する登記の嘱託)
第二百五十九条次に掲げる場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、当該保全処分の登記を嘱託しなければならない。
一 債務者の財産に属する権利で登記されたものに関し第二十八条第一項(第三十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による保全処分があったとき。
二 登記のある権利に関し第百七十一条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)又は第百七十七条第一項若しくは第二項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による保全処分があったとき。
2前項の規定は、同項に規定する保全処分の変更若しくは取消しがあった場合又は当該保全処分が効力を失った場合について準用する。
(否認の登記)
第二百六十条登記の原因である行為が否認されたときは、破産管財人は、否認の登記を申請しなければならない。登記が否認されたときも、同様とする。
2登記官は、前項の否認の登記に係る権利に関する登記をするときは、職権で、次に掲げる登記を抹消しなければならない。
一 当該否認の登記
二 否認された行為を登記原因とする登記又は否認された登記
三 前号の登記に後れる登記があるときは、当該登記
3前項に規定する場合において、否認された行為の後否認の登記がされるまでの間に、同項第二号に掲げる登記に係る権利を目的とする第三者の権利に関する登記(破産手続の関係において、その効力を主張することができるものに限る。)がされているときは、同項の規定にかかわらず、登記官は、職権で、当該否認の登記の抹消及び同号に掲げる登記に係る権利の破産者への移転の登記をしなければならない。
4裁判所書記官は、第一項の否認の登記がされている場合において、破産者について、破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定したとき、又は破産手続終結の決定があったときは、職権で、遅滞なく、当該否認の登記の抹消を嘱託しなければならない。破産管財人が、第二項第二号に掲げる登記に係る権利を放棄し、否認の登記の抹消の嘱託の申立てをしたときも、同様とする。
(非課税)
第二百六十一条第二百五十七条から前条までの規定による登記については、登録免許税を課さない。
(登録のある権利への準用)
第二百六十二条第二百五十八条第一項第二号及び同条第二項において準用する同号(これらの規定を同条第四項において準用する場合を含む。)、同条第三項(同条第四項において同条第三項後段の規定を準用する場合を含む。)並びに前三条の規定は、登録のある権利について準用する。
(責任制限手続の廃止による破産手続の中止)
第二百六十三条破産者のために開始した責任制限手続について責任制限手続廃止の決定があったときは、破産手続は、その決定が確定するまで中止する。
(責任制限手続の廃止の場合の措置)
第二百六十四条破産者のために開始した責任制限手続について責任制限手続廃止の決定が確定した場合には、裁判所は、制限債権者のために、債権の届出をすべき期間及び債権の調査をするための期間又は期日を定めなければならない。
2裁判所は、前項の規定により定めた期間又は期日を公告しなければならない。
3知れている制限債権者には、第三十二条第一項第一号及び第二号並びに前項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。
4破産管財人、破産者及び届出をした破産債権者には、第二項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。ただし、第一項の規定により定めた債権の調査をするための期間又は期日(当該期間又は期日に変更があった場合にあっては、変更後の期間又は期日)が第三十一条第一項第三号の規定により定めた期間又は期日と同一であるときは、届出をした破産債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。
5前三項の規定は第一項の規定により定めた債権の届出をすべき期間に変更を生じた場合について、第百十八条第三項から第五項までの規定は第一項の規定により定めた債権の調査をするための期間を変更する決定があった場合について、第百二十一条第九項から第十一項までの規定は第一項の規定により定めた債権の調査をするための期日を変更する決定があった場合又は当該期日における債権の調査の延期若しくは続行の決定があった場合について準用する。この場合において、第百十八条第三項及び第百二十一条第九項中「破産管財人」とあるのは「届出をした制限債権者(第二百六十四条第一項の規定により定められた債権の届出をすべき期間の経過前にあっては、知れている制限債権者)、破産管財人」と、同条第十項中「破産管財人」とあるのは「届出をした制限債権者、破産管財人」と読み替えるものとする。
6第三十一条第二項及び第三項の規定は、第一項に規定する期間及び期日について準用する。
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